Premiere Proの字幕入れをAIで効率化!1時間の作業が10分になった方法

AIで字幕制作を効率化する動画編集タイムラインのイラスト

動画編集の中でも、意外と時間がかかるのが字幕を入れる作業です。

動画を何度も再生しながら、

  • どの部分を字幕にするか決める
  • 音声を文字に起こす
  • お客様に内容を確認してもらう
  • 修正された文章をタイムラインに入れる
  • 音声に合わせて表示時間を調整する
  • フォントや色、縁取りを設定する

この一連の作業を手作業で行うと、短い動画でも1時間ほどかかることがあります。

そこで今回は、Premiere Proの文字起こし機能とAIを組み合わせて、字幕入れを効率化する方法を紹介します。

実際にこの方法を試したところ、これまで約1時間かかっていた作業を約10分まで短縮できました。

作業時間は、およそ6分の1です。

目次

クライアントワークでは「どこを字幕にするか」の確認が必要

自分で作る動画であれば、編集者の判断で字幕を入れられます。

しかし、クライアントワークではそうはいきません。

「この発言は字幕にしたい」

「ここは強調してほしい」

「この言葉は別の表現に直したい」

「この部分には字幕を入れなくてよい」

こうした内容を、お客様と打ち合わせながら決める必要があります。

そこで便利なのが、Premiere Proの文字起こしをCSVで書き出し、Excelの確認表として共有する方法です。

Premiere Proだけで字幕を完結させるのではなく、確認はExcel、整形はAI、最終調整はPremiere Proという形に分けると、作業がかなりスムーズになります。

作業全体の流れ

今回の字幕制作は、次の流れで進めます。

  1. Premiere Proで動画を文字起こしする
  2. 文字起こしをCSVで書き出す
  3. CSVをお客様確認用のExcelに整える
  4. お客様と字幕にする部分を打ち合わせる
  5. 修正済みExcelの必要な情報だけをAIに渡す
  6. AIで字幕を読みやすく分割する
  7. タイムスタンプ付きのSRTを作る
  8. SRTをPremiere Proへ読み込む
  9. 字幕のデザインを一括設定する
  10. 音声に合わせて微調整する

この方法なら、字幕を1つずつ手入力する必要がありません。

1.Premiere Proで動画を文字起こしする

まず、Premiere Proで編集する動画のシーケンスを開きます。

続いて、上部メニューから「ウィンドウ」→「テキスト」を選択します。

テキストパネルが表示されたら、「文字起こし」タブを開き、「シーケンスを文字起こし」を選択します。

設定画面では、次のように指定します。

  • 言語:日本語
  • 話者の区別:必要に応じてオン
  • 対象音声:動画内の会話が入っているトラック

設定後に文字起こしを実行すると、Premiere Proが音声を解析し、タイムコード付きの文章を作ってくれます。

動画編集でPremiere Proを使っている方なら、この文字起こし機能だけでもかなり時短になります。

特に、インタビュー動画やセミナー動画のように会話量が多い動画では、最初から手入力するよりも圧倒的に楽です。

2.文字起こしをCSVで書き出す

文字起こしが完了したら、テキストパネルの右上にある「…」をクリックします。

メニューから、

「書き出し」→「CSVファイルに書き出し」

を選択します。

保存場所とファイル名を指定すると、Premiere Proの文字起こしをCSV形式で保存できます。

CSVはExcelで開けるため、お客様との確認用データとして利用できます。

ここで大事なのは、Premiere Proの文字起こし結果をそのまま字幕にしないことです。

自動文字起こしは便利ですが、誤字や言い回しの違いが出ることがあります。

そのため、一度Excelにして確認できる状態にしておくと、後の修正がかなり楽になります。

3.お客様確認用のExcelを作る

CSVをExcelで開いたら、次のような確認表に整えます。

No 開始 終了 自動文字起こし 採用・修正字幕 備考
1 00:00:05.120 00:00:07.759 危険な 危険な
2 00:00:07.759 00:00:13.080 子供の食習慣ということで… 子どもの食習慣ということでお送りします 表記修正

Premiere Proが作った文章は「自動文字起こし」列に残しておきます。

お客様には「採用・修正字幕」列へ、実際に表示したい文章を入力してもらいます。

字幕が不要な部分は空欄のままで構いません。

この形式にすると、どの発言を字幕にするのか、お客様と編集者の間で認識を合わせやすくなります。

また、修正前の文章と修正後の文章が横並びになるため、あとから見返したときにも判断の理由が分かりやすいです。

4.お客様と字幕にする部分を打ち合わせる

打ち合わせでは、次の内容を確認します。

  • 字幕にする発言
  • 字幕にしない発言
  • 誤字や固有名詞
  • 強調したい言葉
  • 表記の統一
  • 文章を短くする箇所
  • 補足説明が必要な箇所

この時、Premiere ProのタイムコードがExcelに残っているため、動画の該当箇所を探しやすくなります。

「3分32秒付近の発言を修正したい」といったやり取りもスムーズです。

クライアントワークでは、この確認表があるだけで認識違いを減らせます。

あとから「ここは字幕に入れる予定でした」「この言葉は直してほしかった」といったやり取りになりにくいので、編集者側としても安心です。

5.修正済みExcelの必要な情報だけをAIに渡す

お客様との打ち合わせが終わったら、修正済みExcelの必要な列だけをAIに渡します。

渡す情報は、基本的に次の3つで十分です。

  • 開始時間
  • 終了時間
  • 採用・修正字幕

ここで注意したいのは、クライアント名、個人名、未公開情報などをそのままAIに渡さないことです。

必要がある場合は、AIに渡す前に伏せ字にしておくと安心です。

たとえば、会社名は「A社」、個人名は「担当者」、商品名は「商品A」のように置き換えておきます。

AIはあくまで字幕の分割やSRT生成に使います。

動画データやPremiere Proのプロジェクトを丸ごと渡す必要はありません。

今回設定した字幕ルールは次のとおりです。

  • 1行最大18文字
  • 字幕は最大2行
  • 句読点がある場合は改行を優先
  • 2行を超える文章は別の字幕に分割
  • 実際の音声に合わせて表示時間を設定
  • お客様が修正した文章を優先
  • 表記ゆれや誤変換を修正

AIを使うことで、長い文章を1つずつ手作業で分割する必要がなくなります。

AIに渡すプロンプト例

以下のプロンプトを使うと、Excelの内容からPremiere Proで読み込めるSRTを作りやすくなります。

以下の表をもとに、Premiere Proで読み込めるSRTファイルを作成してください。

条件は次のとおりです。

- 「採用・修正字幕」が空欄の行は字幕にしない
- 1行は最大18文字以内
- 字幕は最大2行まで
- 句読点、助詞、意味の切れ目を優先して改行する
- 2行に収まらない場合は、開始時間と終了時間の範囲内で自然に分割する
- 表示時間が短すぎる字幕は、読みやすさを優先して文章を短くする
- 固有名詞やお客様が修正した表記は勝手に変更しない
- 出力はSRT形式のみ
- 余計な説明文は入れない

表データ:
ここにExcelの「開始」「終了」「採用・修正字幕」列を貼り付けます。

このプロンプトのポイントは、AIに「何をしてほしいか」だけでなく、「何をしてはいけないか」も伝えていることです。

特に、固有名詞やお客様が修正した表記を勝手に変えないように指定しておくと、実務ではかなり安心です。

6.AIでタイムスタンプ付きSRTを作る

AIはExcelの開始時間・終了時間と修正文をもとに、Premiere Proで読み込めるSRTを作成します。

SRTには、次のような情報が入っています。

1
00:00:05,120 --> 00:00:07,759
危険な

2
00:00:07,759 --> 00:00:13,080
子どもの食習慣ということで
お送りします

このデータには、字幕の順番、表示開始時間、表示終了時間、表示する文章、改行位置が含まれています。

つまり、Premiere Proで字幕を1つずつ作る必要がありません。

手入力で字幕を入れていたときは、ここにかなり時間がかかっていました。

文章を入力して、改行を考えて、表示位置を合わせて、次の字幕に進む。この繰り返しがなくなるだけで、作業の負担はかなり減ります。

7.SRTをPremiere Proへ読み込む

完成したSRTをPremiere Proへ読み込みます。

操作方法は通常の動画や画像を読み込む時と同じです。

「ファイル」→「読み込み」からSRTを選択します。

読み込んだSRTをプロジェクトパネルからタイムラインの先頭へドラッグすると、新しい字幕トラックが作成されます。

タイムスタンプに沿って、字幕が自動的に配置されます。

ここまでできると、字幕の配置作業はほぼ完了です。

あとはデザインとタイミングを確認していきます。

8.字幕のデザインを一括設定する

SRTには表示時間と文章は保存されていますが、フォントや文字色、縁取りは基本的に保存されません。

そのため、Premiere Proへ読み込んだ後にデザインを設定します。

今回の設定は次のとおりです。

  • フォント:ゴシック体
  • 文字色:黄色
  • 縁取り:黒
  • 文字の太さ:太字
  • 配置:画面下部中央
  • 最大行数:2行

字幕トラック内の字幕をすべて選択すれば、デザインを一括で適用できます。

1つずつ設定する必要はありません。

動画編集を継続的に行うなら、Premiere Proの文字起こし機能と字幕トラックの一括編集はかなり便利です。

Adobe Creative Cloudを使っている方は、Premiere Proの標準機能だけでも字幕作業を大きく効率化できます。

9.最後に音声とタイミングを確認する

AIで作ったSRTを読み込んだ後は、必ず動画を再生して最終確認します。

確認するポイントは次のとおりです。

  • 話し始めと同時に字幕が出るか
  • 話し終わる前に字幕が消えていないか
  • 無音部分に字幕が残っていないか
  • 次の字幕と重なっていないか
  • 改行位置が不自然ではないか
  • 人物の顔や資料に重なっていないか
  • 誤字や固有名詞の間違いがないか

ずれている字幕があれば、タイムライン上で字幕クリップの左右端を動かして調整します。

AIにすべてを任せきるのではなく、最後は人が映像と音声を確認することが重要です。

AIは作業を速くしてくれますが、完成品質を保証してくれるわけではありません。

特にクライアントワークでは、最後の確認は必ず人が行うべきです。

実際に作業時間が6分の1になった

これまでの方法では、動画を再生しながら字幕を1つずつ入力していました。

文章を入力し、改行を考え、表示時間を調整するため、約1時間かかっていました。

今回の方法では、Premiere Proで文字起こし、Excelでお客様確認、AIで文章を分割、AIでSRTを生成、Premiere Proへ一括読み込み、最後に必要な部分だけ微調整、という流れに変えています。

その結果、字幕を入れる作業は約10分になりました。

1時間かかっていた作業が10分になったため、作業時間はおよそ6分の1です。

特に効果が大きかったのは、字幕の手入力とタイムラインへの個別配置がなくなったことです。

作業時間が短くなると、修正対応や確認作業に時間を使えるようになります。

ただ速くするだけではなく、確認に時間を回せるようになるのが、この方法の大きなメリットだと感じました。

この方法が向いている動画

この方法は、特に次のような動画に向いています。

  • インタビュー動画
  • 対談動画
  • セミナー動画
  • 解説動画
  • YouTube動画
  • 採用動画
  • 商品・サービス紹介動画
  • お客様から字幕内容の確認が必要な動画

複数人で内容を確認するクライアントワークでは、Excelを間に挟むことで修正履歴も分かりやすくなります。

一方で、短いSNS動画のように字幕量が少ない場合は、手入力のほうが早いこともあります。

動画の長さや字幕量に合わせて、使い分けるのがおすすめです。

注意点

Premiere Proの自動文字起こしは便利ですが、完全に正確ではありません。

特に次の内容は間違いやすいため、確認が必要です。

  • 人名
  • 会社名
  • 商品名
  • 専門用語
  • 数字
  • 同音異義語
  • 聞き取りにくい音声

また、「1時間から10分」という時間は今回の動画と作業条件での実績です。

動画の長さ、字幕の量、音声状態、お客様からの修正量によって作業時間は変わります。

AIに情報を渡すときは、不要な個人情報やクライアント情報を含めないことも大切です。

必要な情報だけを渡し、字幕生成に関係ない情報は削除しておきましょう。

まとめ

Premiere Proの文字起こしとAIを組み合わせることで、字幕制作を大幅に効率化できます。

ポイントは、Premiere Proだけで完結させようとしないことです。

Premiere Proは、音声の文字起こし、タイムコードの取得、字幕の配置、デザイン設定、最終調整に使用します。

Excelは、お客様との確認、採用する字幕の指定、修正文の共有、備考や指示の記録に使用します。

AIは、修正文の整理、18文字以内への分割、2行以内への調整、タイムスタンプ付きSRTの生成、表記チェックに使用します。

それぞれの得意な作業を組み合わせることで、字幕制作の品質を保ちながら、作業時間を短縮できます。

字幕を1つずつ手入力している方は、まずはPremiere Proの文字起こしをCSVで書き出し、Excelで確認表を作るところから試してみてください。

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